Q30: 「スチュワーデス」を「客室乗務員」と言い換えることに代表される、差別的な言動を避ける動きのことを英語で何と言いますか?

A:広い意味では、(being) politically correct (略してPC)。個別的にはgender-neutral language(性別について中立な言葉)の使用など。



National Organization for Women (NOW)は、1966年に米国で設立されたfeminists(男女同権主義者たち)の団体。女性解放運動で大きな成果をあげました。


男女差別(sexism)や人種差別(racism)などを避ける動きには、米国などで1960年代から70年代に大きなピークがありました。差別的用語を言い換えるなど、差別的言動・偏見を避けていることを(being) politically correct(「政治的に正しい」)と呼ぶようになりました。


典型的には、男女の役割の固定観念(stereotype)を助長する用語の言い換えがあります。
stewardess → flight attendant(客室乗務員)
fireman   → firefighter(消防士)
firemanという言葉を使うこと自体が、「これは男性の仕事だ」という意識を広めるので、firefighterのように男女の区別がない言葉、つまりgender-neutral languageを使いましょう、ということです。
日本語でも、スチュワーデスは「客室乗務員」と言い換えられ、看護婦さんは「看護師」となりました。


1970年代などにさまざまな非差別用語が開発され、定着したものは現代では常識となっています。


その反面、「あの時代はカリカリしていて行き過ぎがあった。あれほど神経質になることはないよ」と感じる人たちもたくさんいます。
例えば、chairman(委員長、会長)という言葉の代わりに、男女の区別がないchairpersonやchairを使うことが提案されましたが、完全には普及していません。chairperson / chairを好む人たちもいますし、今でも堂々とchairmanというタイトルを使う大企業はたくさんあります(女性であればchairwomanが普通)。


差別的言動を避けることを、一般に(being) politically correctと言います。
名詞形はpolitical correctnessです。どちらも略してPCです。
ただし、political correctnessはPC運動の行き過ぎを皮肉る批判的文脈で使われます。PC運動に対する蔑称に近いです。
PCはあまりにも意味が広く、皮肉にも聞こえるので、PC推進者たちは具体的に「gender-neutral languageを使いましょう」などと言うことを好みます。


例文:Political correctness is leading to an erosion of free speech in this country.
(「政治的に正しいこと」の行き過ぎで、この国での言論の自由は萎縮しつつある)







このコーナーでは、時事英単語や、英文を読む上で必須となる基本の英単語などを、イラスト入りのイメージトレーニング方式で楽しく解説します。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさんです。 

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※本コラムはおよそ7年前に執筆されました。
※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています。







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