Q89: 英語の歴史において、聖書は大きな存在です。下記の有名な一節は、英語ではどんな表現でしょうか? 

次の空白(□)を埋めてください。

初めに神は天と地を創造された。
In the □□□□□□□□□ God created the □□□□□□ and the □□□□□.
(中略) 神が言われた、「光あれ」 そして光があった。
...
And God said, □□□ □□□□□ □□ light: and □□□□□ □□□ light.




 A:

初めに神はを創造された。
In the beginning God created the heaven and the earth.
(中略) 神が言われた、「光あれ」 そして光があった
And God said, Let there be light: and there was light.


光の創造を描いた聖書挿絵版画(Gustave Doré、1832–1883)



旧約聖書・創世記(Genesis)の冒頭です。この英訳は、1611年の『欽定訳聖書』(King James Bible =通称)でのものです。
King James Bibleはイギリスにおける、英語の完全復権を象徴しています。



1066年にイングランドは、フランスに定住していたノルマン人に征服され(Norman Conquest)、以後は彼らの話すフランス語がイギリス政治での公用語となりました。英語の歴史において、最大級の激震でした。

数世紀を経て、英語が完全に復権し、以前のフランス語やラテン語に代わって、政治でも宗教においても英語が使われるようになりました。

このころの英語はEarly Modern English(初期近代英語)と呼ばれています。シェークスピアなどの時代です。ただし、King James Bibleは聖書であるため、わざと古めかしい表現が多く使われています。

この時代の最大の原動力はグーテンベルグの印刷革命でした。1474年にはイギリスで活版印刷が始まりました。



聖書の「光あれ…」については、当初はthe Vulgateと呼ばれる、ローマ教会のラテン語訳版が正式でした。
the Vulgate(4世紀初訳): fiat lux et facta est lux
John Wycliffe訳(14世紀、表記は手直しした):Be made light, and made is light

これでは何のことか、わかりにくいですね。
Tyndale訳:'Let there be light', and there was light.

16世紀に、William Tyndaleが、聖書を一般人向けにわかりやすく英訳しましたが、教会から禁止され、死刑になりました。しかし彼の英訳は格調高く、その後のKing James Bibleにもかなり採用され、今日に至っています。

King James Bibleは、ジェイムズ一世(James I) が英訳聖書の編集を命令した聖書。これを通じて、イギリスでは書き言葉として英語を使うことが本格的に広まりました。


King James Bible冒頭の創世記では、神がまず天地を創造します。

In the beginning God created the heaven and the earth.
And the earth was without form, and void; and darkness was upon the face of the deep. And the Spirit of God moved upon the face of the waters.
And God said, Let there be light: and there was light.
And God saw the light, that it was good: and God divided the light from the darkness.
And God called the light Day, and the darkness he called Night. And the evening and the morning were the first day.

初めに神は天と地を創造された。
地には形なく、空虚だった。闇が深遠の上にあった。神の心が水の上を動いた。
神が言われた、「光あれ」 そして光があった。
神は光を見て、良しとされた。神は光を闇から分けた。
神は光を昼と呼び、闇を夜と名付けた。晩と朝、最初の一日であった。
(伊藤サム訳)



6日間にわたり、人間を含む天地の万物を創造し続け、7日目に休息をとりました。これが、日曜日が安息の日とされる理由です。




このコーナーでは、時事英単語や、英文を読む上で必須となる基本の英単語などを、イラスト入りのイメージトレーニング方式で楽しく解説します。 解説・監修は元ジャパンタイムズ編集局長の伊藤サムさんです。 

※トップページでは各クイズはランダムに表示されます。ぜひ何度もアクセスして全部のクイズに答えてみてください。 
※イラスト・写真の一部にマイクロソフト社などのクリップアート類を許諾条件に基づいて使用しています。






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